江坂は仲間二人と小さな出版社をやっている。ある夜、江坂は目黒川に身を投げた女を助けた。女は滝村秋子といい、夫の暴力に耐えかねて家を出たと話した。それから二人の奇妙な生活が始った。二カ月も過(guò)ぎると、二人はすっかり夫婦きどり、行きつけの飲み屋でも、いつも二人の姿が見られた。そして秋子は、夫、豊に離婚を迫った。その話に豊は驚いた。というのは、大學(xué)病院に勤める豊は、看護(hù)婦の三代江とただならぬ関系になり、秋子に離婚を迫ったことがある。しかし、嫉妬深い秋子は離婚にはガンとして応ぜず、家中の家具を金屬バットで壊したことがあった。その秋子が離婚を求めてきたのだが、今度は豊が応ぜず、二人でやり直そうと言い寄った。その頃、行きつけの店の客の一人、桑野という男が自宅の風(fēng)呂場(chǎng)で殺された。事件の前に、店に秋子という女から桑野に電話があったそうで、さらに現(xiàn)場(chǎng)には滝村の名刺が落ちていた。秋子のことを思い浮かべた江坂は新聞?dòng)浾撙瘟x兄の青柳に話を聞き、滝村も訪ねた。二人から聞く秋子の姿は、彼女が江坂に話したこととは正反対であった。暴力に必死に耐える女どころか、嫉妬深い女だった。江坂は桑野を殺したのは秋子ではないかという疑いを抱いた。翌日、休日出勤した江坂を、秋子が陣中見舞に立ち寄った。執(zhí)拗に問(wèn)いつめる江坂に、秋子は滝村のことはウソをついていたことを認(rèn)めた。しかし、桑野殺害についてはまったく身に覚えのないことで、江坂にここまで問(wèn)いつめられ、絶望するのだった。その時(shí)、江坂の機(jī)の電話が鳴った。青柳からで、殺人事件の犯人が逮まり、滝村の內(nèi)妻の三代江の犯行だったという。秋子を落し入れようとする三代江の罠だった。秋子がいなくなったことに気付いた江坂は屋上に駆け上ると、手すりを飛び込える彼女の姿が見えた。